バリ/ウブッド通信/127号 <バリの正月/ニョッピ>

海での供養/マラスティ(パンタイ レンベン)

バリ正月ニョッピの前には色んな行事が行われます。3日前から厄落としが行われ各村のご神体が海に運ばれ供養されます。バリ島全体の行事なのでその人手は交通麻痺を起こします。皆朝5時からご神体、ガムラン楽団そして村人が海を目指します。それは圧巻と言うかトラックに山積みされた村の祠、バロンと人、人。道路は白装束のバリ人と車、バイクで溢れます。その道中もトラックでガムラン楽団は演奏をしているので、どこにいてもその音色が聞こえてきます。風に乗った楽団の音色は遠く、近くと流れます。海の近くで絵画教室をしていたのですが、その間中、海から供養を終えて帰ってくる人達とガムランを演奏しながら、徒歩で帰る海の近くの村の人達、暑い日差しの中白い装束がまぶしいくらい光り、それに油を注ぐようなガムランの金属音が風にのってやってきます。その音も風に乗ると爽やかな音となってバイクや車の音ではないすがすがしさが感じられるのです。日頃は海の方から1時間ほどでウブッドに帰ってこれますが、この日はあらゆる所で行列に出会い、3時間くらいかかりましたが、ただの渋滞ではなく楽しみながら待ってる渋滞は気になりません。海には悪霊が住むと信じられていますが、論理的にも海のエネルギーは山と違って強いものがあります。潮の満ち引きによるエネルギーの変化や自然の厳しい気候、塩を含んだ空気など、山の水と違って海の水は飲めません、作物も殺してしまいます。それが悪霊の存在を意とするバリの人は農耕民族の教えを守っているのでしょう。善霊も悪霊も信じてちゃんと祈りと供養をする事でバランスがとれるのです。臭いものには蓋、恐ろしいものを認めない、いいとこだけを見て生きる事のアンバランス、死を見つめて生きる、こんなバリ ヒンドゥの教えは自然の掟のような、またアニミズム的な教えでもあるのです。

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