毎年バリの正月は新月で迎えられる。月の出ない暗黒の正月なのです。今年は3月5日、バリのサカ歴では今年は1933年、一年の厄落しの儀式がこの正月前に多くあります。2日はマラスティと言う悪霊を供養する儀式で各村から海に向かって何台ものトラックにガムランバンドから村の守護神バロンの神、宮から祠まで真っ白の装束に身を包んだ人達で朝から道は大渋滞、海の近くの村は徒歩行進で向かいます。車もバイクも立ち往生になります。海では僧侶の祈りの儀式からガムランの演奏、村のバロンや祠を海水につけ、厄落しをして、各村に持ち帰ります。そして新しい年を静寂と暗黒で迎え、一年の出発になるのです。人で言うとディトックス(毒だし)をして身を清め新鮮で新しくなるようなものです。気や霊はエネルギー体で、それを清めることでディトックスする訳です。毒出しをして新年を迎える、けじめの時なのです。謹むことで始まる新年は祝うことより祈ることから始まります。大晦日に村を行進して焼かれるオゴオゴ(悪霊人形)も灰となりすべては新しいエネルギーでむかえるのです。火もタバコも電気も使えない元旦、バリの国際空港も元旦は閉鎖し車も飛行機も飛ばないのです。この文明の世の中で空港まで閉鎖するバリヒンドゥ教の徹底した信仰は他の国に例を見ません。全ての文明の利器が止まってしまい、道路は子供たちの遊戯天国化し、自然の音だけが聞こえてくる平和な一日なのです。島全体でこの悪霊払いをしなければ、どこかに厄が落ちてくるのです。外国人は特に西洋人は文明のマインドコントロールをされているので、この日の不便さから逃避します。シェルターとして西洋人はホテルに泊まり電気も温かい食事もテレビも日常として、島に来る悪霊など気にもしません。バリに憧れて住む西洋人は多いのですが、バリの文化や精神はリゾートマインドで打ち消される哀れな人種に見えるのです。
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