バリ、ウブド通信 137号 /新年の遺跡巡り。

ボロブドゥル遺跡

新年あけましておめでとうございます。

ジャワ島のほぼ真ん中にインド洋に面したジョグジャカルタの街からバスで一時間半、ドアーの開きっぱなしのローカルバスは道で手をあげるお客を拾いながらクラクションを鳴らしながら走る、まるで ”どけっ、どけっ”と言っているような感じで凄いスピードでタバコをくわえて運転手はうまいハンドルさばきをする。モスリムのおばさん達が荷物を持って乗ってくる、車掌は荷物を中に入れてやったと思うと、もうバスは動き出す、おばさん達はバスの中でフラフラしながら席を探す。バスストップなど無いので、”ここで止めて!”と叫ぶと止まってくれる。便利のいいバスなのです。そして市場を兼用したターミナルに着く。

ターミナルからはさほど遠くはないのだが、馬車に乗って遺跡の入り口まで行くと、きれいに整備された公園のような大きな敷地に花や木が植えられている。十数年前に来た時は何もなく、土のだだっ広い 敷地の中に石の遺跡がそびえていた。入場料も20ドル(外国人)僕は永住権があるのでローカルプライス、800円、世界遺産に登録されて設備も修復もされて立派な遺跡として人気を集めている。8世紀に仏教徒が作ったこのストゥパの群れ、その中に石像のブッダが鎮座している。ここから活火山である3000メートルのメラピ火山が見える。全体がマンダラのデザインでてっぺんの大きなストゥパを中心に5つの回廊が円をなして、その壁には煩悩のレリーフから悟りのレリーフまで、ラマヤナ物語の絵巻でもあります。

パオン遺跡、ムンド遺跡とボロブドール近辺には小さな寺院のような遺跡があります。様式は同じような建物ですが、中の仏像の頭部が無かったり像そのものがなかったりします。オランダの350年間の植民地時代にこれらの石像は盗難にあったのか、ムンド遺跡の側に日本人が建てた碑があり、日本語で先の戦争で亡くなった人を慰霊しています。また昭和天皇がそれらの有志の心にうたれて言葉を残されていました。


ムンド遺跡の側には仏教寺院があり、仏を奉り、きれいな庭には蓮や睡蓮が植わっていました。インドネシアの殆どはイスラム教徒であり、少数のクリスチャンや仏教徒がいます。16世紀にイスラム教が全土に普及した時には仏教を捨ててイスラム教に改宗され、今は国の宗教になっていますが、バリだけはバリヒンドゥを宗教としてイスラム化しませんでした。イスラムの高僧がバリの王様と会見して改宗を勧めたのですが、バリの王様は “もしあなたが私の髪の毛を一本でも抜けるなら改宗しよう” と言って瞑想されイスラムの高僧は出来なかったと言う逸話があります。

プランバナン遺跡
ジョグジャカルタの街から乗り合いバスで一時間足らず、30円のバス代は値打ちがあります。ここも世界遺産に登録されたヒンドゥの寺院、センターには一番大きな石塔の中にシバの神、息子のガネーシャと奥さんの石像が祀られています。塔全体にレリーフされた外観は圧倒されます。広い公園もきれいに整備され、地震で崩れ落ちた建物も復工されていますが境内の外の小さな塔はまだ石が積み上げたままで、壮大な復旧作業を必要とするのでしょう。

このプランバナンもボロブドールと同じ頃に建造されたもので、石の素材やレリーフの内容も同じものがあります。古人はこの地を地球のヘソと信じていました。まさにパワースポッットなのでしょう。シバの塔を出てから、疲れもあったのか、また憑かれたのか、貧血状態になり、芝生で30分ほど寝てしまいました。その仮眠で夢の中で「因」をふもうとしてふめない自分の手が出てきました。目が覚めると黒雲が押し寄せすごい雨となってレストランに雨宿りをせざるを得ませんでした。

パラオサンロール遺跡
ここはプランバナンから少し離れた所にある遺跡で、写真のような建物が3つあります。中の石像は一体もありませんでした。ただ台座だけが主人を失ったように密かにありました。中は3つの部屋になっていてピラミッドの中のような天井があり、外観は一瞬、ガンダムのようなサイズと顔を見せています。ガンダム寺院の様でもありました。ストゥパの組み合わせの建物上部にはまるで顔を意識したような配置になっているのが興味深かったです。
新しい年を迎え、今年こそ平安で世の中のカオスが減少して人を中心とした自然界を回復して欲しいものです。皆様にもより平安で平和な一年が訪れる事を願い、今回の遺跡の旅をシェアーします。
オームスアステアストゥ




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